ボケが浮かばない…でもネタは作れる?

漫才の作り方

「漫才のネタを作りたいけど、良いボケがまったく思いつかない」という悩みをよく聞きます。確かに、漫才はボケとツッコミの掛け合いで進む構造なので、ボケは“半分”に見えるかもしれません。でも実際には、ボケとその後の展開=ネタ全体の設計図と言っても過言ではありません。

なぜなら、ボケはツッコミとセットで考えられるものだからです。ボケが明確にあることで、そのリアクションとしてのツッコミが生まれ、やり取りの流れが作られていきます。

ツッコミまで含めて“ボケ”は成立する

この関係性は、ネタの世界だけに限りません。例えば、日常の中で「ウケを狙った行動」をする人も、心の中では「こうツッコんでほしい」という前提を持っているはずです。

たとえば、学校で“やたらボケたがる先生”が、教科書を天地逆にして読み始めたとしましょう。これは、「いや先生、逆だよ!」というツッコミを期待してのボケです。

つまり、良いボケは、すでに頭の中で「ツッコまれる姿」をシミュレーションしているのです。

ツッコミがないと、ボケは“奇行”になってしまう

ツッコミを想定していない行動は、ただの“変な人”で終わってしまうことも。 「意味わからんことするなよ!」とツッコまれてこそ成立するボケであって、ツッコむ相手がいなければ、「なにそれ…?」と引かれて終わるだけの可能性も高いのです。

この構造を理解すると、ボケは“孤立”させないことが重要であることが分かります。必ずツッコミとペアで考えるべきなのです。

まずは“ボケ中心”で設計してみよう

誤解されがちですが、「ツッコミが軽視されている」という話ではありません。最初の設計段階においては、ボケからスタートするのが王道であり、最も組み立てやすい方法ということです。

もちろん、完成度の高い漫才では、ツッコミに強い個性を持たせたり、ツッコミの言葉で一番大きな笑いが起きることも多々あります。しかし、それは“応用編”と考えてよいでしょう。

ボケ→流れ→最後にツッコミの精度を上げる

おすすめしたい段取りとしては、次のような流れです:

  1. 設定を決める(例:病院、学校、旅行など)
  2. その中で入れ込みたいボケのアイデアをとにかく出す
  3. ボケの意図に沿って、それにマッチするツッコミのニュアンスをイメージする
  4. ネタの起承転結を構成し、流れとして組み立てる
  5. 最終的にネタ合わせをしながら、ツッコミの文言や間を調整する

このような流れで作っていくことで、「全体の空気感が伝わる台本」に仕上がりやすくなります。

“画面上で完結しない”のが漫才の奥深さ

ここまでできたとしても、まだ完成とは言えません。 漫才はあくまで舞台上のライブパフォーマンスです。だからこそ、「ネタ合わせ」は絶対に欠かせない工程です。言い回し、間、テンポ、声の大きさ、イントネーションなど、文字だけでは調整できない要素が山ほどあるからです。

むしろ、“台本を100点にする”というよりは、ネタ合わせで120点を目指していく作業だと思ってください。

まとめ

漫才の台本作りでは、「良いボケが思いつかない…」と手が止まってしまう人が多いですが、ボケは単独で存在するものではありません。ボケとは、常に「ツッコミまで含めた設計」で考えるもの。最初にボケを思いつけたなら、それだけでネタの大半は完成しているとも言えます。そしてその後の流れや構成を整え、ネタ合わせを通じてツッコミの言い回しや間を調整すれば、漫才はどんどん仕上がっていきます。まずは、“面白いボケ+それに合ったツッコミ”という1セットからスタートしてみましょう!

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