お笑い用語「天丼」とは?

漫才の作り方

お笑いの世界でよく耳にする「天丼」という言葉。これは、同じボケやツッコミをあえて繰り返すことで、笑いを誘うテクニックのひとつです。

語源には諸説ありますが、よく言われているのは「天丼に海老天が2本入っていること」から来ているという説。真偽は不明ですが、なんとなくイメージは掴みやすいですよね。

今やテレビやYouTubeでも芸人さんが当たり前のように使っており、お笑い用語としてかなり市民権を得ている存在です。

漫才における「天丼」の基本パターン

天丼はただの“繰り返し”ではありません。繰り返しに意外性や期待感を持たせることで、笑いが増幅します。ここでは、代表的な3つのパターンを紹介します。

① オーソドックスな天丼

基本形とも言えるのがこちら。同じボケを繰り返すパターンです。

ボケ「僕らね、ダウンタウンっていうコンビなんですけどね、名前だけでも覚えて帰ってください」
ツッコミ「勇気すごいなそれ!ダウンタウンなんてコンビ名つけるやついるかー!」
ボケ「あーごめんなさい。間違えていました。えーと、、僕たちのコンビ名は、、ダウン、、タウン??」
ツッコミ「誰に聞いてんだよ!だから違うって!」
ボケ「あーホントのコンビ名忘れちゃいましたよ。。仕方ないんで、今たまたま思い浮かんだダウンタウンっていうのでもいいすか?」
ツッコミ「だから良いわけないだろ!俺らが二代目名乗れるわけないんだから!」

観客が「もういいだろ!」と思った頃にさらに繰り返すことで、予想外の面白さが生まれます。

② ツッコミの天丼

ボケが変わっても、ツッコミが同じ言葉を繰り返すパターンです。

ボケ「見てよ、俺の財布」
ツッコミ「うわ、分厚いな!」
ボケ「昨日散歩してたら100万円落ちててさ。とりあえず入れといた」
ツッコミ「いや、早く届けろよ!!」
ボケ「おい!ちょっと!チーちゃん、ネタ中だから静かに!」
ツッコミ「チーちゃん??」
ボケ「あー迷子のインコがウチのベランダに迷い込んできてさ。とりあえず鞄で飼ってるんだよ」
ツッコミ「だから早く届けろよ!」
ボケ「そういえばこんなのもあるけど?」
ツッコミ「何!?」
ボケ「大量のラブレターが間違えて俺のポストに入ってて」
ツッコミ「それも早く届けろー!!何全部寝かせてるんだよ!」

代表例はタカアンドトシさんの「欧米か!」スタイル。条件反射のようにツッコむ姿勢自体が面白さを生みます。

③ 裏切りの天丼

繰り返すと思わせて、あえて裏切るというテクニックです。

ボケ「みなさん!ハッピーニューイヤー!」
ツッコミ「いやもう4月だわ!遅すぎるだろ」
ボケ「あーすいません。間違えてました。あけましておめでとうございます!!」
ツッコミ「同じ意味なんだよ!いい加減にしろよ!もう言うなよそれ!」
ボケ「わかった、わかった、もう絶対言わないから」
ツッコミ「頼むよホントに」
ボケ「ハッピーハロウィーン!!!」
ツッコミ「いや、そこはハッピーニューイヤーって言うところだろ!!!」

観客の“次も天丼が来るだろう”という期待を逆手にとることで、笑いに変える上級テクニックです。

応用パターンと効果的な使い方

天丼にはバリエーションがあります。すぐに繰り返すだけでなく、あえて間を空けたり、違う話を挟んでから繰り返すという「時間差天丼」も効果的です。

この構造は、以前紹介した「伏線回収型漫才」にも似ており、「一度忘れさせて、後で思い出させる」ことで笑いの効果が倍増します。

さらに、同じ言葉や展開が“場面を超えて出てくる”という使い方をすると、世界観が広がり、ネタに深みを持たせることもできます。

まとめ

天丼とは、同じボケやツッコミを繰り返すことで笑いを生むテクニック。オーソドックスな天丼から、ツッコミによる天丼、さらには裏切りの天丼まで、そのバリエーションは多彩です。重要なのは「繰り返すこと自体」ではなく、観客の期待を上手く操作しながら“意外性”と“納得感”を両立させること。タイミングや間の取り方によって、笑いの質が大きく変わります。ネタ作りの中でこのテクニックを試してみると、構成にメリハリが出て、より印象的な漫才になるはずです。

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