※【前編】の記事はコチラをご参照ください。
前回の記事では、「町中華」をテーマにしたコント漫才の【導入】までをご紹介しました。今回はいよいよその続きを展開し、コントパート本編のネタと、それぞれのボケの狙いや意図について詳しく解説していきます。
導入から一気にコントへ:スムーズな切り替えがカギ
今回のネタでは、「サンドウィッチマン型」とも呼べるスタイルを採用。つまり、最短距離でコントに突入し、ボケの密度を上げる構成です。
以下は導入部分の締めから、すぐにコントへ入るパターンの例です。
ボケ「…俺が店員さんやるから、入ってくるお客さんやってくれない?」 ツッコミ「いいよ、やってみよう」 (ここで一呼吸置き、コントパートへ) 店員「いらっしゃいませ!すみませ~ん。うち、現金使えるんですけど、大丈夫ですか?」 客「使える分にはいいだろ!なんでキャッシュレス専門店みたいな言い方してんの!?」
このように、観客に「ここからコントです」と明確に示しつつ、冒頭から笑いを取りにいく工夫が大切です。
コント漫才ネタ「町中華」本編(完全版)
以下に、実際のネタ全文を記載します。登場人物は、店員(ボケ)と客(ツッコミ)です。
ふたり「どうも!よろしくお願いします!」
ボケ「俺さ、何食うか迷ったら結局チェーン店にしちゃうんだよね」
ツッコミ「分かる分かる」
ボケ「でもさ、新しい店も開拓したくてさ、住宅街にひっそりあるような町中華とかも気軽に入れるようになりたいんだよね」
ツッコミ「町中華!いいよねー」
ボケ「だからさ、町中華に入るシミュレーションしておきたくて、どんな客だと店側が嫌がるか知っておくために、ちょっと俺が店員さんやるから、入ってくるお客さんやってくれない?」
店員「いらっしゃいませ!現金使えるんですけど大丈夫ですか?」
客「使える分にはいいだろ!」
店員「じゃ、お席にご案内しますね」
客「お願いします」
店員「味薄目のお客様1名入りましたー!」
客「はい!?」
店員「あれ?高血圧じゃなかったですか?」
客「初対面で言うな!」
店員「ショタイメンっていうメニュー、うち無いんですよ」
客「言ってねえよ!メニュー持ってきてくれ」
店員「すみませーん…先代から守ってきたメニュー、無くしちゃって」
客「1枚しか無いの!?」
店員「継ぎ足し、継ぎ足し、守ってきたんです」
客「タレじゃないんだから!QRコードでいいよ、餃子とチャーハンね」
店員「ご注文お決まりでしょうか?」
客「今言っただろ!!」
店員「餃子とチャーハン…珍しい組み合わせですね?」
客「定番だよ!」
店員「餃子は一つ一つ店でチンしてるんで、お時間かかります」
客「冷凍かよ!まとめてやれよ!」
店員「レンジのムラがあるの、ご存じない…?」
客「どこにこだわってんだよ!」
店員「お待たせしました!餃子とエビチリです」
客「チャーハンって言ったでしょ!」
店員「高評価つけるのは結構なんで、よかったらどうぞ」
客「お代は結構だろ!」
店員「2階で先代がswitchやってるので、静かにしてもらえます?」
客「遊んでる老人優先!?」
店員「じゃあ伝票置きますね」
客「5000円!?高いよ!!もういいよ!!」
ふたり「どうも!ありがとうございましたー!」
ネタに仕掛けたボケの意図を解説
さて、ここからはネタに込められた「ボケの方向性」を具体的に解説していきます。
① ボケの大枠は「的外れで失礼な店主」
今回のネタでは、ボケ役を「的外れな努力をしている店主」に設定しました。この“ズレた真面目さ”は、お客さんに「そこじゃない!」と感じさせやすく、ツッコミも立てやすいです。
例:
- 「高血圧じゃなかったですか?」→失礼系ボケ
- 「レンジのムラ、ご存じない…?」→上から目線のズレた丁寧さ
② 「町中華らしさ」を活かしたネタ
設定を活かすのも重要です。今回のような“町中華”の舞台では、以下のようなボケが特に効果的です。
- 「餃子とチャーハン、珍しいですね」→“定番なのに”というズレ
- 「餃子を一個ずつチン」→中華なのに妙な丁寧さのズレ
③ 「工夫してるけど全然ダメ」パターン
努力の方向が間違っている人はネタとして非常に美味しいです。
たとえば:
- 「継ぎ足し継ぎ足しのメニュー」→意味不明なこだわり
- 「食べログ高評価狙いの態度」→評価気にしすぎて逆に悪印象

おわりに:設定で“見え方”が大きく変わる
漫才において設定はとても重要です。今回のように「町中華」というだけで、お客さんが状況をイメージしやすくなり、その分ボケが効果的に働きます。
設定特有のボケ、ズレたキャラ設定、明確な“ボケ役の方向性”を意識して作ることで、コント漫才の世界観は一層豊かになります。
次回は別のテーマでも実践トレーニングを続けていきますので、ぜひお楽しみに!
まとめ
「町中華」をテーマにしたコント漫才を通じて、設定の活かし方・ボケの組み立て方・キャラの方向性など、ネタ作りに欠かせない要素を実践的に解説しました。コント漫才では、状況が明確な分、観客が入り込みやすく、ボケが映えやすいというメリットがあります。特に、「失礼系」「こだわりがズレてる系」のボケは強く、設定と絡めることで独自性も出せます。今回のようなネタを元に、自分なりの角度や構成をぜひ試してみてください!
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