漫才作り実践トレーニング①【後編】

漫才の作り方

【前編】の記事はコチラをご参照ください。

~前回までの漫才~
ふたり「どうも!よろしくお願いします!」
ボケ「俺さ、何食うか迷ったら結局チェーン店にしちゃうんだよね」
ツッコミ「分かる分かる」
ボケ「でもさ、新しい店も開拓したくてさ、住宅街にひっそりあるような町中華とかも気軽に入れるようになりたいんだよね」
ツッコミ「町中華!いいよねー」
ボケ「だからさ、町中華に入るシミュレーションしておきたくて、どんな客だと店側が嫌がるか知っておくために、ちょっと俺が店員さんやるから、入ってくるお客さんやってくれない?」

前回の記事で、上記のコントパート導入までの漫才は出来ました。
では、この後の流れを考えていきましょう。

どんな流れでコントパートに入るかについては、色々検討の余地はありますが、今回は”サンドウィッチマンパターン”とも言える、とにかくボケ数を重ねるために最短でコントパーチに入ってしまうやり方を採用したいと思います。

ですので、

ボケ「だからさ、町中華に入るシミュレーションしておきたくて、どんな客だと店側が嫌がるか知っておくために、ちょっと俺が店員さんやるから、入ってくるお客さんやってくれない?」

の後には、すぐにコントパートに入ってしまいます。

実際は、コンビ共に一呼吸おいてマイクからちょっと下がってから、声色を素のものとは少し変えるというような仕草を見せることが有効でしょう。理由は、「ここからがコントパートですよー」ということをお客さんに分からせるためです。

そして今回は、ボケ役が店員ですから、店員の第一声からコントパートを始めてしまうのがよいでしょう。そして出来ればいきなりボケて、最初の笑いを狙えると理想的です。
ですので例えば、、

店員(ボケ)「いらっしゃいませ!すみませ~ん。うち、現金使えるんですけど、大丈夫ですか?」
客(ツッコミ)「使える分には別にいいだろ!なんだよキャッシュレスオンリーみたいな言い方して!」

のような感じです。
昨今、現金が使えないお店が増えていますが、それを逆手にとって「何故か、現金を使えることを謝る」というボケを考えてみました。

この後は、「客が初見のお店に入って、注文して、料理が届いて、お会計して、、」というような通常の流れでネタを進めていくのが無難です。

もちろん、トリッキーな方向に敢えて進ませるネタも有効だとは思いますが、コント漫才の大きなメリットの一つには、「お客さんが知っているシチュエーションを使用しているので分かりやすく見られる」という事があります。ですので、みんなが知っている流れは有難く使わせてもらい、その中でボケを考えていくことを基本としましょう。

ということで、この後は最後まで一気にまずは見てみてください。

店員「じゃ、お席にご案内しますね」
客「お願いします」
店員「味薄目のお客様1名入りましたー!!」
客「はい!?」
店員「あれ?高血圧じゃなかったですか?」
客「だとしても!!失礼なこと言うなよ!初対面で」
店員「あーすいません。うち、ショタイメンっていうメニューなくて、普通のラーメンになっちゃうんですけど」
客「日本語通じねえのかよ!ああ、もう!とりあえず、メニュー持ってきてくれよ」
店員「すみませーんお客様」
客「はあ!?」
店員「たった今、先代から守ってきたメニューをどっかに無くしちゃいまして…」
客「ええ、1個しかないの!?」
店員「そうなんです。継ぎ足し、継ぎ足し、守ってきたんです。。」
客「秘伝のタレみたいに言うなよ!なんだよメニューの継ぎ足しって」
店員「かわりと言ってはなんですが、、」
客「何よ?」
店員「こちらのQRコードから注文ができますんで」
客「だったら最初からそれでいいだろ!あーこれね。じゃあ、餃子とチャーハン。注文完了と。。」
店員「ご注文お決まりでしょうか?」
客「今やったよ!!おたくがQRでやれって言ったんでしょうが!」
店員「餃子とチャーハンですね。珍しい組み合わせですね…?」
客「定番中の定番だろ!!」
店員「実は、当店の餃子はですね、一つ一つお店で、、」
客「おっ何!?こだわりがありそうだな」
店員「一つ一つ、チンしてるんで、お時間けっこういただいちゃうんです」
客「その辺の冷凍食品じゃねえかよ!!全否定はしないけど!だとしたら時間かかんないだろ!」
店員「ですから!餃子を1個ずつチンしてるんです!!」
客「いや、まとめてやれよ!5個とか6個とか!!」
店員「あーお客さん、、電子レンジって解凍にムラがあるのご存じない・・・??」
客「どここだわってんだよ!!だったら最初から店で作れよ!!」
店員「お待たせしました!餃子とエビチリです!」
客「いや、エビチリじゃなくてチャーハン頼んだんだけど!」
店員「ああ、すみませーん。。食べログの高評価つけるのは結構なんで、、よかったら召し上がってください」
客「ふつう”お代は結構”だろ!!なに、ミスっといて高評価まで頂こうととしてんだよ!」
店員「ちょっとお客さん…!2階で先代がニンテンドーswitchやってるんで、もうちょい静かにしてもらっていいすか??」
客「寝てるならまだしも!!なんで遊んでるジジイが優先なんだよ!!」
店員「じゃあここに伝票置いておきますんで」
客「ええと、、5000円?はあ?高すぎるでしょ!!二度と来るかー!!もういいよ!!」

ふたり「どうも!ありがとうございました!!」

(漫才おわり)

いかがでしたでしょうか?
様々な感想があるかと思いますが、ここからはボケの意図や狙いなどをご紹介できればと思います。

まず全体を通して、とくにコント漫才の場合やボケ役の「大きな方向性」を決めておくとよいでしょう。ここでいう「方向性」とは、「どんなタイプのボケをする役なのか」という意味です。

今回の場合、「失礼なところがあり、色々と店のために工夫しているが全部的外れな店主」というような方向で考えてみました。

この「失礼な人」という方向性は、色々なネタでも有効です。とくに、本来であれば接客業として丁寧にお客さんと接することを求められている店員さんのような立場の登場人物を失礼なキャラにすると、ボケが浮かびやすいです。

上記のネタの中で言うと、

店員「あれ?高血圧じゃなかったですか?」
店員「あーお客さん、、電子レンジって解凍にムラがあるのご存じない・・・??」

あたりのボケは、「失礼系」のボケにあたるでしょう。
勝手にお客さんの事を決めつけてディスっています。
注意しないといけない点としては、ただの悪口になってしまうとボケとしては面白さを感じられません。相手を馬鹿にする感じは別に問題ないと思いますが、その馬鹿にする内容がズレている、みたいなボケにすると良いかと思います。

次に、「店のための工夫が的外れ」という点についても振り返ります。
今回のネタの中で言うと、

店員「そうなんです。継ぎ足し、継ぎ足し、守ってきたんです。。」
店員「ですから!餃子を1個ずつチンしてるんです!!」

あたりのボケが該当します。
店の繁盛のために、一見工夫したり頑張ったりしているようなのですが、その効果が全然ないどころか、店にとってマイナスになっているような様子をボケにしています。
ここで注意したいのが、可哀想な感じにしないこと。ただ結果が出ていないだけではなく、努力の方向が思いっきり間違っているというようなボケにしないと、笑いではなく同情を集めるだけになってしまいます。

その他、コント漫才で必ず入れておきたいのは、「その設定特有のボケ」です。
どんな設定でも笑いを狙えるような汎用性の高いボケもあるとは思いますが、せっかく(今回の場合は)町中華という設定にしているのですから、町中華ならではのボケを入れられるとベストです。
今回で言うと、以下などが該当します。

店員「餃子とチャーハンですね。珍しい組み合わせですね…?」
店員「お待たせしました!餃子とエビチリです!」

ということで、ボケの意図などを解説させていただきましたが、いかがでしょうか?
当然ながら、作り手が100人いれば100通りのボケやツッコミがありますし、それが漫才の面白いところです。

今後も、町中華だけでなく、様々な設定で実践トレーニングの記事を載せていきたいと思いますので、お楽しみに!

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