ハマれば威力抜群!システム漫才のパワー

漫才の作り方

”システム漫才”と呼ばれる漫才の種類があります。
特定のフォーマットを軸にして、最後までその軸をベースに、ボケを変えながら進んでいく漫才がシステム漫才を言われています。
具体例としては、以下の通りです。

・ナイツの『ヤホー漫才』・・・インターネットの”ヤホー”で調べてきました。という入りから、ひたすら間違った情報を披露してボケていくスタイル

・ミルクボーイの『おかんが忘れた漫才』・・・M-1で披露された「コーンフレーク」のネタに代表される。「俺のおかんが●●を忘れちゃったらしくて」という入りから、「ほな▲▲やないかい!」「ほな、▲▲と違うかー」を繰り返すスタイル

・ハライチの『ノリボケ漫才』・・・ボケの岩井さんのボケに、ツッコミの澤部さんが乗っかっていくのを繰り返し、段々それがエスカレートしていくスタイル

優勝したミルクボーイを筆頭に、いずれもM-1決勝で「システム漫才」を披露し、大きな爪痕を残しました。ナイツとハライチの多方面での活躍も、皆さんご存じのとおりです。

さらに近年のネタでいうと、ウエストランドの『あるなしクイズ』のネタも、一種のシステム漫才ともいえるでしょう。あるなしクイズをしながら漫才が進んでいくという構成になっており、M-1そのものをディスるという前代未聞のネタで大きな話題となり優勝をかっさらいました。

今回は、この「システム漫才」のメリット・デメリットについて考えていきたいと思います。

メリット① ハマったときの爆発力がすごい

ミルクボーイやウエストランドが優勝した時のM-1グランプリをご覧になった方であれば分かると思いますが、システム漫才が会場のお客さんや雰囲気と合致したときの盛り上がりはすさまじいものがあります。
漫才は難しいもので、ネタによっては、後半の尻すぼみ感が出てしまうこともあるなか、ハマったシステム漫才は天丼の威力も合わさり、加速度的に盛り上がっていくという特徴があります。

メリット② お客さんが安心して見られる

漫才において、安心してお客さんが見られるメリットについては以前書きました
どんなネタなのか分からない緊張感ばかり続いてしまうと、言っていることは面白かったとしても中々笑えないものです。
その点、システム漫才は一度”システム”を理解してもらえたら、演者としてはそれだけで他のコンビよりスタートラインの遥か先に立っているでしょう。
ミルクボーイやウエストランドの最終決戦(決勝2本目)を思い出してみてください。お客さんは完全に1本目の”システム”が2本目でも続くことを期待していた空気でしたし、2組とも見事に期待通りに1本目で観客に把握してもらった”システム”を披露して大成功。
本ネタが始まる前に、1本目と同じ”システム”の漫才だとお客さんが分かった時点ですでに笑いが起きていました。
こうなると強く、1本目とは毛色の違う2本目で勝負した他のコンビを飲んでしまう勢いがあるのです。このメリットはM-1に限らず、テレビ出演や営業においても有効でしょう。

デメリット① キャラや人間性が伝わらないリスクがある

”システム”にこだわるあまり、コンビの人間性が伝わりづらいネタになってしまうという懸念があります。キャラが伝わらない=ウケない、ということでは必ずしもありませんが、”システム”に頼りすぎ、あまりに本来のキャラと乖離してしまうのは、ネタだけが浮いてしまうというデメリットがあります。

デメリット② 飽きられてしまう

これは、メリット②の裏返しでもありますが、特定のシステム漫才でブレイクした芸人がいるとして、当然のごとくあらゆるメディアでそのシステム漫才が消費されます。イメージがまとわりつき過ぎてしまい、本当は別のネタをやりたくても、同じようなオーダーばかり来てしまうというリスクです。その結果、”一発屋芸人”のようにメディアに消費されてしまい、大衆にも飽きられる……。もちろん、一度ブレイクするだけでもとんでもなく凄いことなのですが、システムに頼り過ぎてしまい、デメリット①で書いたようにコンビの人間味をネタの中で見せることができないと、飽きられてしまう懸念があります。

いかがでしたでしょうか?

デメリットも考えられるとはいえ、インパクトを残したいというアナタであれば、誰もやってなかったようなシステム漫才を開発すれば大いに注目される可能性があります。

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