漫才のテーマが決まり、「よし、ここから台本を書くぞ!」と気合いを入れてPCを開いたものの、手が止まってしまう…。そんな経験は誰しもあると思います。特に「最初の1ボケ」が出てこない時は、不安にすらなってしまうものです。
そんな時におすすめしたいのが、「まずはボケを考える」というスタンスではなく、「ボケを生むためのネタ素材を広げる」手順から入ることです。

今回はその一例として、「ワードを出し」「決まり事を洗い出し」「ルールを破る」という三段階の方法をご紹介します。
まずはテーマに関するキーワードを挙げる
例えば、「結婚式」をテーマにした漫才を書こうとしたとします。いきなり面白いボケをひねり出そうとすると難しいですが、まずは結婚式に関する関連ワードをざっと挙げてみましょう。
- ご祝儀
- ケーキ入刀
- 乾杯の音頭
- 友人代表スピーチ
- 余興
- 新婦から両親への手紙
- 席次表
- 誓いのキス
このように出すだけでも、自分がそのテーマについてどれくらい知っているかが明確になり、そこからの発想がしやすくなります。
次に「そのワードにある常識」を洗い出す
ここがポイントです。挙げたワードそれぞれに、「こうあるべき」という“決まり事”を考えてみましょう。いわば社会的ルール、マナー、暗黙の了解、慣例などがそれにあたります。
例を挙げると、こんな感じです。
- ご祝儀 ⇒ 3万円など「割れない」金額がマナー
- ケーキ入刀 ⇒ 新郎新婦が一緒にナイフを入れる共同作業
- 乾杯の音頭 ⇒ 短くテンポよく
- 友人代表スピーチ ⇒ 笑いと感動が織り交ぜられた内容
- 余興 ⇒ ポジティブでお祝いムードのあるもの
- 新婦の手紙 ⇒ 両親への感謝が主な内容
- 席次表 ⇒ 目上の人が前、友人は後方
- 誓いのキス ⇒ 永遠の愛を誓う瞬間
このような“正解”を一度リストアップしておくと、そこから「ずらす」発想が生まれやすくなります。
「ルールを破る」ことでボケになる
次にやるのが、「その決まり事に反する内容」を考えるというステップです。これは、“常識をひっくり返す”ことでボケの核を作る方法です。
たとえば:
- ご祝儀 ⇒ 「22,222円」などあえて割れまくる金額を包む
- ケーキ入刀 ⇒ 新郎はケーキ、花嫁はパンを切ってて分業制
- 乾杯の音頭 ⇒ 早口すぎて「乾杯!」の一言だけで締める
- スピーチ ⇒ 元カノの話を延々と語る空気読めない友人
- 余興 ⇒ 離婚をテーマにした曲を熱唱
- 手紙 ⇒ 両親の悪いところランキングを発表
- 席次表 ⇒ ご祝儀の金額で席替えが発生する鬼ルール
- 誓いのキス ⇒ 「10年ごとの更新制」が選べる
このように、「ネタのベースを常識において、そこから“外す”」という考え方を使えば、ボケの数はグンと増やしやすくなります。
“変なアイデア”も一度は書き出してみる
ボケ作りの初期段階で大切なのは、「とにかく量を出す」ことです。精度よりもまずは発想の量。変なアイデアや無理のあるボケでも、書き出してみることで意外なつながりが生まれたり、その後の構成に役立つ“種”になることもあります。
「ボケが全然出てこない…」と悩む前に、一度「ワード → 決まり事 → ルールを壊す」の3ステップを試してみてください。
まとめ
ボケを考えるのが難しいと感じたときは、「テーマに関連するワードを挙げる → そのワードの“常識”を洗い出す → 常識を崩してボケに変換する」という3ステップがとても有効です。特に、日常の中にある“当たり前”をひっくり返す発想は、笑いを生みやすい黄金パターンでもあります。いきなり面白いことを思いつこうとせず、“材料”を先に用意しておくことが、スムーズなボケ作りへの近道です。ネタが書けないときは、まず「言葉を出す」ことから始めてみましょう!
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