漫才を書いていて悩ましいのが、終わらせ方です。
しゃべくり漫才にせよコント漫才にせよ、最後のセリフをどのようなものにして漫才を終了させるかで悩んでいる方も多いかもしれません。
とはいえ、現在活躍されている人気漫才師の「終わらせ方」は大半が以下のような形になるのではないでしょうか?
①もうええわ!(標準語:もういいよ!)
②ええ加減にせえ!(標準語:いい加減にしろ!)
③止めさしてもらうわ!(こちらの標準語はあまり見ない気がします)
皆さんご存じだとは思いますが、ボケ担当が最後のボケを発して、
ツッコミ担当が「もうええわ!」と言って締める感じです。
ボケ「●●●!!」(最後のボケ)
ツッコミ「もうええわ!!」
ふたりで「どうも!ありがとうございました~!!」
のような段取りです。
もちろん、すべての芸人さんが上記3パターンに属しているわけではなく、それ以外のバージョンも存在します。
例えば、EXITさんの「お後がヒュウィゴー!!」という”チャラ男キャラ”に合った感じで終わる、というものがあります。
EXITさんのように、コンビの雰囲気に適した独自な終わり方を開発することができれば、記憶に残りやすく、メリットも多いと考えられます。
とはいえ、この「終わらせ方問題」については、対になっているとも言える、ツカミよりかはこだわっている芸人さんは多くないように思います。その理由を考えていきましょう。
まず、「終わらせ方」を笑いにつなげる事は中々難しいという点があるでしょう。基本的にツッコミ担当のセリフになりますから、ボケ担当の最後のボケに対しての返しとなります。なのでそれ自体で笑いを生むというのは構造的に困難なのです。
そして、「終わるタイミングは誰でもわかりやすくしておきたい」と考えている芸人さんもいるかもしれません。寄席(ライブ)、生放送のテレビなどでは、次の芸人だけでなく裏方さんたちが秒単位のスケジュールで忙しなく動きます。
もしかしたらネタが終わって、完全に舞台袖に捌ける前に、舞台を暗くするなどの演出があるかもしれません。そのようなスタッフへの合図という意味合いも含めて、定番の「もうええわ!」と分かりやすく言っておけば皆助かる、という場合もあるでしょう。
笑い的な意味ではあまり影響がないのであれば、そこに拘らずに定番の方法で終わりましょうと考える方が多いとも想像されます。
そうなると、やはり大切なのは終わらせ方より漫才の展開です。
どこに笑いのピークを持っていきたいかの戦略を立てて、ボケを配置していく作業が肝要だと言えます。当然ながら前半ばかり盛り上がるような尻切れトンボの構成では、見終わった後のお客さんの印象もあまり良くないという懸念があります。
基本的には、前半もすぐに一笑いがありつつ、段々と尻上がりで盛り上がっていくネタが理想的とされています。ですので「もうええわ!!」の前は、なんならお客さんが笑い疲れているくらいに盛り上がっていると最高です。
そして、定番の「もうええわ!!」を聞いた瞬間に、「あー面白かった」と素直に感じてもらえるような漫才を見ることができたら、お客さんも大満足でしょう。
ということで今回は「終わらせ方問題」ついて考えてみました。
オリジナリティのある終わらせ方も理想ですが、無理に工夫しすぎずに、ネタ全体の盛り上がりを練ることに時間を割いた方が良いかもしれませんね。
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