漫才のネタを作っていると、意外と悩ましいのが「終わらせ方」。しゃべくり漫才でもコント漫才でも、最後のセリフや締めの一言をどうするかで手が止まることもあるでしょう。
笑いのピークをどう配置するかに気を取られがちですが、実は「終わらせ方」もネタ全体の印象を左右する重要な要素です。
王道の終わらせ方3パターン
多くの人気芸人が採用している終わらせ方は、主に以下の3つに分類されます。
- 「もうええわ!」(標準語訳:もういいよ!)
- 「ええ加減にせえ!」(標準語訳:いい加減にしろ!)
- 「止めさしてもらうわ!」(標準語の対応が少ない表現)

これらはすでに定番とも言えるスタイルで、観客も“ネタが終わった”と安心して拍手を送れる合図のような機能を果たしています。
EXITのような独自の終わらせ方もアリ
もちろん、すべての芸人が定型に従っているわけではありません。たとえばEXITさんの「お後がヒュウィゴー!!」は、チャラ男キャラの世界観を活かした独自の締めフレーズです。
このように、自分たちのキャラクターやネタのトーンに合わせてオリジナルの終わらせ方を開発することで、印象に残りやすくなるメリットもあります。
なぜ終わらせ方は軽視されがちなのか?
ツカミ(冒頭)にはこだわるのに、終わらせ方には無頓着というパターンは少なくありません。その理由としては、以下の点が考えられます。
① 笑いにつなげるのが難しい
終わりのセリフは基本的にツッコミの役割であり、ボケへのリアクションとなるため、それ自体が笑いを取るのは構造上難しいのです。
② スタッフや観客への「終了合図」として機能
寄席やテレビ収録などでは、舞台の転換や裏方のタイミングも重要です。「もうええわ!」のような分かりやすい言葉は、スタッフや演出面でも“終了の合図”として重宝されます。
③ 定番フレーズにしておく方が安心
新しい締めの形を模索するより、ネタ全体の構成に時間をかけたいという考えもあるでしょう。「終わらせ方」は笑いの核にはなりにくいため、そこにリソースを割かないという戦略的な選択です。
重要なのはネタ全体の盛り上がり
結局のところ、大事なのは「どう終わるか」よりも「どう盛り上げて終わるか」です。前半でしっかり笑いを取りつつ、後半に向けて笑いを加速させていく構成が理想とされています。
特に「もうええわ!」を言った時点で、観客が“笑い疲れてるくらい”の状態が最高です。定番の終わらせ方であっても、その直前のボケや展開が十分に盛り上がっていれば、観客は大満足でネタを見終えることができます。
オリジナリティにこだわりすぎなくていい
確かに、独自の締め方ができれば個性を出せます。しかし、無理に奇抜な終わり方を模索するよりも、ネタのクライマックスをどう作るかに集中したほうが結果的に良いネタになることが多いです。
まずは「笑いのピーク」をどこに置くかを考え、その延長として自然に終われる流れを作る。これが最もスマートな終わらせ方と言えるかもしれません。
まとめ
漫才の終わらせ方は、意外と多くの芸人が頭を悩ませるポイントです。しかし、必ずしもオリジナリティを追求する必要はありません。むしろ「もうええわ!」などの定番の締めでも、そこに至るまでのネタ展開がしっかりしていれば、観客は満足してくれます。大切なのは“どんな言葉で終わるか”ではなく、“どんなテンションでそこに辿り着くか”。ネタ全体を通して盛り上がりのある構成を意識することこそが、記憶に残る漫才につながるのです。
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